爽やかの裏側にある、狂気じみた音作り|山下達郎という職人

音楽オタク考察

色々あった人生を、笑って過ごすことにしました♪

今日は、音楽職人といえばこの人。
山下達郎さんについて書きたいと思います。

爽やかの裏側にある、狂気じみた音作り

— 山下達郎という職人 —

目次

車の中で出会った“通”の世界

若い頃、山下達郎は“流行りの人”だった。
「Ride On Time」も「Sparkle」も、ただ耳に心地よいヒット曲。
夏になると自然に流れてきて、気づけば口ずさんでいる。そんな存在だった。

深く考えたことはなかった。
おしゃれで、爽やかで、少し大人。

でも、本当に記憶に残っているのは曲そのものよりも——
日曜、家族で出かけた車の中だ。

カーラジオから流れてきた「サンデー・ソングブック」。

派手ではない。
笑いを取りにいくわけでもない。
流行を追うわけでもない。

なのに、どうしようもなくカッコよかった。

ヒット曲ではなく、知らないドゥーワップやオールディーズ。
録音年やレコード番号、アレンジャーの話まで淡々と語る。

「音楽って、こんなに深い世界があるんだ」

後から番組で紹介された曲を探して、何度も聴き直した。
“流れてくる音楽”を聴くのではなく、
“自分で探しにいく音楽”へ。

あの時間が、音楽の面白さの入口だったのかもしれない。

なぜ洋楽の匂いがするのか

改めて達郎の曲を聴くと、そこには明確な洋楽の匂いがある。

それは雰囲気ではなく、構造によるものだ。

背景にあるのは、60〜70年代アメリカのR&B、ソウル、ドゥーワップ。
骨格そのものがその文法で作られている。

  • 多重録音で幾重にも重ねられるコーラス
  • グルーヴを最優先にしたリズム設計
  • 英語の響きを意識したメロディライン
  • 洗練されたコード進行

とくに「Ride On Time」は、フィリー・ソウルの系譜を感じさせる完成度だ。

イントロの高揚感。
ホーンの入り方。
跳ねるベースライン。

軽やかに聴こえるけれど、実は緻密に計算された配置。
一音一音が、理由を持ってそこにある。

彼は洋楽を真似たのではない。
日本語そのものを、洋楽のグルーヴに自然に乗る形へと作り替えた。

日本語は本来、リズムに乗せにくい言語だ。
それでも違和感がないのは、徹底的な試行錯誤と修正の積み重ねがあるから。

爽やかに聴こえるのは、努力が見えないほど磨き込まれているからだ。

爽やかさを支える異常な誠実さ

「Sparkle」のカッティングギターの切れ味。
寸分の狂いもないリズム。
重なり続けるコーラスの厚み。

一瞬の軽やかさの裏で、どれだけのテイクが積み重なっているのだろう。

「Love Space」の空間設計も見事だ。
音と音の隙間まで計算されている。

「あまく危険な香り」では、グルーヴの色気が際立つ。

爽やかという言葉では足りない。
その奥にあるのは、音に対する異常なまでの誠実さだ。

今、若い世代に再評価される理由

近年、シティポップが世界的に再評価されている。
YouTubeやサブスク、海外DJのプレイリストを通じて、達郎の楽曲は若い世代にも広がっている。

それは単なる“おしゃれブーム”ではない。

構造から作り込まれた音は、古くならない。

言葉の意味が分からなくても、グルーヴは伝わる。
コーラスの厚みは伝わる。
完成度は伝わる。

だから今、改めて聴いても新しい。

若い頃は流行りとして聴いていた。
けれど今は分かる。

あの日、車の中で感じた“通っぽい”空気の正体。

爽やかの裏側にある、狂気じみた音作り。

山下達郎は、風をまとった職人である。


今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪

えむでした🙋‍♀️

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